クロームは、少なくとも最初のうちは使用できるマシンが限定される(たとえば、マックでは動かない)ので、ブランドものとして魅力があり、ユーザーにハイエンドのウィンドウズマシンを購入する新たな動機をあたえるはずだった。
長いあいだハイエンドのコンピュータの価格は、CPUが速くなるにつれて低下していた。
ムーアの法則の付録だ。
I社は、1999年の初頭には55.0メガヘルツで動作するCPUを生産すると語っていた。
1998年に高価なコンピュータは、近い将来には安いコンピュータになってくる。
時がたつうちに、クロームは広く普及するだろう。
とにかく、ウィンドウズベースのマシンR氏はこんな見方をしていた。
だが、クロームにはM社社内に強力な支持者がいて、M氏やB氏もそこに含まれていた。
DRGがぐずぐすしているあいだに、H氏はM社のビデオとはいえ、インストールするマシンが存在しない状況だけに、M社のDRGさえ、クロームの伝道活動には二の足を踏んだ。
E氏は、早い時期に、伝道師たちの支援を求めていた。
本来、DRGは最先端テクノロジーを売り込む部署なのだが、もはや以前のようなカウボーイの集まりではなくなっていた。
M社は、1997年までに、コンピュータのフロンテイアの多くを征服してしまったのだ。
このときグループの指揮をとっていたのは、純粋に営業畑の出身であるC氏だった。
DRGは、攻撃的な活力をすっかり失い、E氏が伝道師だったころと比べるとはるかに慎重になっていた。
DRGのマネージャーは、E氏に向かって、クロームに市場でうけるだけの要素があるかどうかわからないし、とてもではないが収益をあげられるとは思えないといいった。
DRGのべつのメンバーは、E氏が「まるでまとまりのない幻想」をいだいているとクロームの3D能力はVRML(仮想現実モデリング言語)も標的にしていたが、M社は、クロームはVRMLとは競合しないと主張した。
VRMLは、ウェブ上で3Dグラフィックスを表示するための言語だ。
VRMLで記述されたページをダウンロードすれば、そのコンテンツを自由に見たり、回転させたり、動かしたり、その仮想空間の内部を「歩きまわったり」することができる。
VRMLは、その複雑さもあって、ほとんどのウェブ・デベロッパーの興味を引くことができなかった。
対照的に、クロームの売りのひとつはその単純さだった。
にもかかわらず、M社は、VRMLデベロッパーになにも心配することはないのだと熱心に訴え続けた。
開発者たちに依頼して、上級管理者にデモをおこなうためのコンセプトビデオを製作させた。
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